悪友を捨てて(平成30年6月分法話)
昔、お釈迦様はお弟子の一人を深夜の奥山で修行させました。
強くて勇ましい修行者でしたが、怖くてたまりません。
彼は心の中で「大変な所に来たものだ。怖くて修行どころではない。家に帰りたい」と。
そこに一頭の象がやって来て、木の下で眠りました。
すると、お釈迦様が来られ「象の気持ちが分かるか?」と質問されます。
「分かりません」と修行者が答えると、
お釈迦様が説かれます。
「この象は一族を持っている。
今、その繋がれている処から離れて、
独り、ここに来て、木の下で安眠するのは、
恩愛の牢獄を遠く離れる快さを覚えるからである。
象は畜生に過ぎないが、尚かつ静かな所を願う。
お前は家を捨て、全ての迷いや欲を離れて悟りの道を求める身でありながら、
独りでいることを嫌って、連れを求めている。
ものの道理をわきまえぬ友は、多く道心を傷つけ、修行を破る。
独りでいれば心を紛らす相手もなければ、
行を妨げる口説もないのだ。
修行は独りに限る。
決して愚かな連れを必要としないのだ」
そして、さらに
「学びの庭に友はなし。
善き友 得ざるその時は、
独り 善き道を守るべし。
愚かなる友を求めざれ。
学問の道、教えの園、なに 友達のいるべきぞ。
荒野の象のごとく、
独りいる身に憂いなし」と。
☆ ☆
仏教の修行をする時は、
善い友がいない場合は、1人で修行せよと。
悪友とは交流しないことが大事であると。
善い友であるか、悪い友であるかを区別するためには、
自分が正しい仏の教えを知っておくことが先ず大事です。
正しい教えに沿った言葉をいう友が善い友。
正しい教えに沿わない言葉をいう友は悪い友。
何にしても、自分の思い込みだけで判断しないことも大事です。
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