天上界に生まれ変わる話(平成30年4月分法話)
お釈迦様の高弟の迦葉(かしょう)尊者は、
自分の食を求めるのに、
特に貧しい者、孤独の者、病苦の者を哀れんで、
彼らから、その施しを受けられていた。
ある日、
迦葉尊者を間近で見た癩(らい)病の女が、
ようやく人から乞い得た一杯の米のとぎ汁を持っていた。
迦葉がこの女の前に来て、布施を乞うた。
彼女は、
迦葉の悟り、澄んだ、厳かな顔を見て、心に思った。
「このような立派な聖者に布施しなかった為に、
私は、貧苦に生まれ、難病にかかったのだ。
もし、この聖者が、
私を哀れと思って下さるならば、
この米のとぎ汁を供養しよう」
迦葉は、彼女の心を知り、
「姉妹よ、私に米のとぎ汁を施すならば、
この鉢の中に入れて下さい」
彼女が、自分の鉢から迦葉の鉢に米のとぎ汁を移した。
その時、ハエが鉢の中に落ちた。
彼女は急いでハエを掴もうとした拍子に、
彼女の腐れただれた指の一本が、鉢の中に落ちた。
すると、彼女は思った。
「この聖者は、私を哀れんで米のとぎ汁を受けとられたが、
受けただけで、飲んではいただけまい」と。
彼女の心を知って、
迦葉は彼女の前で、この汚い米のとぎ汁を飲んでしまった。
しかし彼女は、
「聖者は、私を哀れんで、米のとぎ汁を飲んで下さったけど、
後で、口直しに美味しい食べ物を求められるだろう」と。
すると、迦葉が
「姉妹よ、私は明朝の食事まで、
この米のとぎ汁によって、
1日1夜を過ごすであろう」と。
彼女はこれを聞いて、初めて心から喜び、
「私は今日こそ功徳を積ませて頂いた。
何と有難い迦葉尊者であろう」と、
迦葉に対して浄い信心を起こして、命を終わった。
命を終わるや、その功徳によって、
彼女は兜率天(とそつてん)という優れた天界に生まれた。
☆ ☆
仏様や、その尊い仏弟子達に布施の功徳を積めること。
仏様やその尊い仏弟子達を信じ、信心することが出来ること。
その様に、
真実の仏教を信じ、実行することで
私達は、仏様の慈悲を受けることが出来ます。
それは、彼女のように、
たった一度、善い功徳を積んだだけでも、
天上界に生まれることが出来るように。
僧侶の私達は勿論のこと、
信心する人は皆、
迦葉尊者のような仏弟子になるように心掛けてほしいとの
お釈迦様のお話だと思います。
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