アジャセ王の改悟・続(令和2年1月法話)
アジャセ王は、どんな治療を施しても快癒しなかった出来物が、お釈迦様のおかげで快癒したものの、
お釈迦様は「アジャセ王にはまだ疑いの心がある。私は今、王に疑いのない心を起こさせてやろう」と。
アジャセ王が、お釈迦様の許を訪れると、威風堂々として純金の山の様なお釈迦様のお姿に感動した王であった。
そのお釈迦様に、罪深い自分など声をかけて頂けるはずがないと考えていたのに、声をかけて頂きアジャセ王は、
「仏の慈悲に差別がないことが分かりました。私の抱いていた疑いの心は跡形もなく消え失せて、
世尊(お釈迦様)は真に最大の大師だということを、今日初めて知ることが出来、こんな嬉しいことはございません」と。
仏の並びなき巧みな方便が、王の心の疑いを霧散させたのである。
そして、20の正法を説き、肉体も心も変化することを教えた。
大王は、
「世尊に会う機会を得ませんでしたら、私は永く大地獄の苦しみを受けたでありましょう。
幸いに、世尊にお目にかかりまして、我が身に得た限りなき多くの功徳によって、
全ての人々の迷いの悪心を破りたいと思います。
もし私の力で、生きとし生ける全てのものの悪心を破ることが出来ますなら、
この世の多くの人々に代って、永く地獄の苦しみを受けても、恨みません」と。
「これも皆、善き友ギバの導きのおかげである」と深く感謝し、偈を詠んだ。
最後にお釈迦様が、
「生きとし生ける全てのものに善心を起こさせるということは、
それがそのまま、諸仏を美しく飾ることになるのである。
大王は遠い過去の世に、ビバシブツ(仏)について善心を起こした。
その後、いまだかつて地獄の苦を受けたことはない。
善心はそれほど果報を持っている。
今日以降もいよいよ善心を持って、善根を行うならば、限りなき多くの悪業は、消え失せてしまうだろう」と。
(仏教説話文学全集から)
☆ ☆
お釈迦様は、私達の心を治すために体の手当てもして下さいます。
「現世利益」と言って、自分の望みだけを叶えてもらうのでなく、仏様のみ心を知り、仏様のみ心に沿うようにすることも大事です。
そして、私達が「善心」を持ち、善心による行いを心掛けることです。
それは、仏様に対して大きな功徳になると言われています。
しかも、自分の積んでいる「悪業」も消え失せてしまうと。
何と、有難いことでしょうか。
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