六方を礼拝する人に(令和2年6月法話)
先月ご紹介したお話の続きです。
お釈迦様が、長者の子に「六方礼拝」の意義を話す前に言われたことが、
「四意を制し、四悪行を離れ、消財の六患を去り、善友悪友におのおの四輩、あることを知っておく必要がある」と。
「制すべき四意とは、強欲・怒り・愚痴・恐れ、である。
この4つは、人を悪道に導いて悪業をつくらせる。
しかし、この四意を制する者は福徳を得ることが出来る者である」
「離れるべき四悪行とは、殺生・盗み・邪淫・妄語、である。
この4つを犯さない者は、現世に於いては人から敬われ、後世には天上の世界に生まれるのである。
また、この4つの悪い行為を制することが出来ない者は、悪い評判が立って、その人の前途は暗くなるばかりだ。
しかし、この4つの悪い行為を制することが出来る者は、その人の前途は光り輝いている」
「消財の六患とは、財産を使い果たす6つの誘惑である。
酒・ばくち・放蕩・伎楽・悪友・無精、がそれである。
酒の過ちには、富の消費・病気・喧嘩・不評判・怒りがちになる・知恵の減退、がある。
ばくちは、勝てば怨まれ・負ければ熱中する・善友から責められ・信用を失い・入獄の憂い・盗心を起こす、がある。
放蕩は、自身の不安・財産の不安・妻子の不安・世間の非難・苦痛にまつわれる・嘘を言う、がある。
伎楽に迷うとは、常に伎楽に心を奪われて、仕事は手につかず、財産は減るばかり。
悪友に交わると、酒飲みになる・乱暴者に・嘘つきに・他人の物をごまかす・下品に・好んで他人の過ちを暴く、がある。
無精は、早い、遅い、寒い、暑い、満腹だから、空腹だから、と言って仕事をしない」
「悪友に4種、心に怨みあるが外面は強く友人の交わりをする者。本人の前で誉めて、陰でけなす者。災いある時に対面では憂うが陰で喜ぶ者。外面は親交で内心でよからぬ事を考える者。
善友も4種、外面は悪くても内心厚意を持つ者。面前で諫めて、陰で誉める者。憂いを共にする者。物質的援助をしなくても、富ます方法を教えてくれる者。
また、どうしても手を付けられない悪友がある。諫めるほどに、反対に、悪い方へ向いていく者がそれである。
そして、わずかな事を大いに怒る者。危急時に、依頼を断る者。急用時に邪魔をする者。友の死亡を見ても捨てて顧みない者」
「長者の子よ。善友は近づけ、悪友は遠ざけることを心掛けねばならぬ」と。
(仏教説話文学全集から)
☆ ☆
今回のお話は、現代人にも通じるお話だと思います。
この世で生きていく上に於いて、自分が気をつけなければならない事です。
「強欲・怒り・愚痴・恐れ」「殺生・盗み・邪淫・妄語」「酒・ばくち・放蕩・伎楽・悪友・無精」をしないように気を付け、
悪友と交わらず、善友を求めることでしょうか。
勿論、自分が他の人にとって善友であることも大事です。
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